香料による健康被害に対して各国では関連法規がありますが、日本では成分を特定することすらできません。そんな日本では、昔から新たな法律を制定するにも時間がかかり、企業からの法人税や役人とのしがらみから国主導の法規制が設けられることは難しい状況です。
受動喫煙対策にしても、国の規制では「甘すぎる」「骨抜き」と批判が多く、結局は都道府県やその他自治体で国を上回る条例を制定しようという動きが多くなってきています。
それは「香害」についても同様です。
香料自粛のポスターを作成するなど、周知を図る自治体が増えてきましたので、一覧にまとめます。
シックスクール問題に苦しむ子ども、妊婦健診に通う必要のある人、香料アレルギー自体やその他アレルギーを増悪させてしまう等々…問題に公共性の高い施設への掲示と周知にご利用ください。
また、引き続き消費者庁への相談も併せてお願いします。
消費者ホットライン℡188:http://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
鳥取県庁:無
〝本県では、香料自粛について具体的な検討は行っていませんが、全国的な自粛に向けた取組状況を注視していきたいと考えています。(2008年)〟との事。
この回答以来10年以上が経過。その間、被害相談は多くなり、予防や対策も成されず化学物質過敏症を発症するに至った患者数も急増している。もう他人事では済まされないし、全国すべての都道府県から香料による健康被害の声があがっていることは、日本消費者連盟の調査で明らかになっている。
他に足並みを揃える、あるいは国に準ずる…という姿勢から察するに、シックスクール問題すら把握できていないのではないだろうか。
◆各省庁の見解と現状での課題について。↴
国が規制に乗り出せない理由について、集会の内容から書き起こしました。↴↴↴
境港市:無
〝「公共施設における香料の問題」については対象や捕らえ方・受け止め方に様々なケースがあるので、現段階 では自粛の呼びかけまでの対応は困難と考えますが、今後の参考とさせていただきます。(平成20年)〟
10年以上が経ち、現状も大きく変化してきた。公共の場でさえも、健康弱者が抑え付けられ、我慢を強いられる。いつまでも問題視しないという対応では、行動の遅さに自ら首を絞めるのみ。患者数は爆発的に急増しており、知らぬ存ぜぬ姿勢を続けていくことは不可能。
鳥取市:市報とっとり(2009年3月)で触れている。≪p.14≫
https://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1235437889007/activesqr/common/other/49a34e6d002.pdf
市報なので活用はしづらいが、非常に分かりやすく簡潔に無駄のない内容なので載せておく。
2009年、まだ認知度も低く、病名登録されたばかりの頃でありながら無駄のない的確な内容。
島根県庁:無
ポスターはないが、県HP上に周知を呼びかける内容は載っている。
『「化学物質過敏症」への御理解・御配慮をお願いします』https://www.pref.shimane.lg.jp/medical/kenko/kenko/chouju_info/kagakubussitu.html
2012年に県民からのポスター作製の要望に応えたかたち。
自然由来であっても合成化学物質であっても、扱い方を誤ったり過剰に摂取すると悪影響がある旨を示したいのだろうか…意図が分からないので何とも言えない。また、特効薬はないということに触れ、周知させたいのか…配慮・自粛の啓発が目的にもかかわらず、当たり障りないことを載せる必要もなければ、食材の選び方に関してはそれこそ個人の自由であり個人で選んで摂取するもの。一方、たばこや香料などによる化学物質は、他人が纏う揮発性有機化合物で健康に悪影響がある点が重要。
受動喫煙問題も並べ、有毒な粒子状およびガス状物質を慢性的に吸引し続ければ受動喫煙症、しいては化学物質過敏症に移行することも踏まえまとめているが、まるで職員が自己学習用にまとめたノートのようだ。
また、香料などの化学物質による健康被害は、化学物質過敏症とならないために予防が原則。そして、化学物質過敏症患者だけに症状が起こるわけではない。
妊婦や授乳婦も吸引は避けるべきであり、特に授乳婦が取り込んだ人工香料については母乳中にも移行するといったデータもでている。香料など多くの化学物質には内分泌かく乱作用などの報告もあり、新生児や乳児が母乳から取り込む弊害など懸念されている。同じように、体脂肪の比率が多く、薬物代謝能が未熟な小児は香料などの脂質移行性の高い難分解性の有機化合物を体内に蓄積しやすい。成人でさえも健康被害が増えているなか、大人になれば問題ない…解決するだろう…体質改善でどうにかなる…とする考え方では筋が通らない。予防が原則。
また、化学物質過敏症でなくとも、片頭痛持ちの方や喘息の方にとっては症状を誘発する原因となり、感覚過敏傾向のある方々にとってみれば苦痛でしかない。香料はただの〝香り〟と軽くあしらわれるが、感覚器官に何かを伝える刺激物でもある。その刺激に鈍感な人もいれば、当然のように敏感な人もいる。鈍感な人が、敏感な人に強要してもいいという話にはならない。
そして、香料や消臭剤などの化学物質は、もともとのアレルギー体質の方のアレルゲン自体そのものを強毒化する。(アジュバント効果)PM2.5や光化学スモッグなどにより花粉症などのアレルギーが悪化するなどの例から、難分解性の揮発性有機化合物を他人に吸引させるよう強いるのは暴力だともいえる。
これらも踏まえ、今後の啓発用のポスターの作成に期待したい。
※応援の意味も込め、公式観光キャラ猫「しまねっこ」を載せておく。
米子市:有るようだが…(市HP上では確認できず)
市議の働きかけにより、実態の調査や対策などの後押しになった。公共施設などでポスターは貼ってあるようだが、成果の程は不明。必要な方は、ぜひ問い合わせを。
『化学物質過敏症で苦しんでいる方がいらっしゃいます』http://www.city.yonago.lg.jp/item/23576.htm#pagetop
過剰な香料や、タバコなどといった化学物質は、化学物質過敏症患者のためだけではなことは、上記に記載したとおり。参照のこと。
益田市:有
『香料(香水・整髪料など)自粛のお願い』https://www.city.masuda.lg.jp/uploaded/life/4320_8276_misc.pdf
一目で何が言いたいのか、よく読まずとも理解できるポスター。
『化学物質過敏症について』https://www.city.masuda.lg.jp/soshiki/132/855.html
〝益田市の公共施設において香水等の自粛をお願いしています〟とある。2009年から取り組んでる姿勢が素晴らしい。
だが、上記に記載したように、香料やタバコなどの化学物質による健康被害は、化学物質過敏症患者だけの問題ではない。また、予防が原則であり、有効な治療方法はほぼない。詳しくは、上記を参照のこと。
2009年から、日常生活に溢れる化学物質も大きく変わってきてる。とともに、いまだ研究途上にあり、次々に新規合成化学物質が生み出され、健康への悪影響など検討されないまま世に送りだされている。そろそろ情報のアップデートも必要な時期にさしかかっているのではないだろうか。早期から問題に取り組んでいる益田市に今後も期待したい。
岡山県庁:有るようだが…(URLはリンク切れ、県HP上では探せなかった。)
画像だけ載せるので、必要であれば県庁に問い合わせを。
相当古いものなのかもしれない。それは、かなり早い段階で作成されたものと考えられる。そろそろ、新しいものを情報をアップデートして作成してもらいたいと期待する。
その理由はやはり、化学物質過敏症患者だけが香料などに苦痛な症状を示す訳でないからで、上記に詳しく記載した。※上記の島根県「しまねっこ」の辺りからの内容を参照のこと。
倉敷市:有(チラシ)
『香料使用自粛のお願い』http://www.city.kurashiki.okayama.jp/secure/26075/H28kouryou.pdf
ポスターではなく、チラシだそうだ。
元ページ→http://www.city.kurashiki.okayama.jp/9611.htm
化学物質過敏症患者だけでなく、アレルギー体質の方の症状も悪化することに触れている。当事者意識を持つ方が増え、他人に悪影響をもたらす成分を吸引させない、そして自分の健康のためにも必要最低限にとどめるよう促せるようなツール。
倉敷には工業地帯なども広がっており、鉄粉が舞うなどの環境。そのため大気汚染問題にも意識が向きやすい風土なのかもしれない。香料やタバコなどの化学物質を大気中に放出し他人に吸引させることは、発生源が違うだけで大気汚染をもたらし強要していることと同じ。
笠岡市:削除
広島県庁:有
さすがは中国四国地方最大の都市、そして世界中から多くの観光客が訪れる日本を代表する土地でもある。
昨今、日本で〝香りの空間演出〟を謳い香料を強要することがサービスだと思い込む施設管理者も多くなるにつれ、外国人観光客から旅行代理店などに苦情も多くみられるようになってきた。
広島はもともとフランスなどEU圏の観光客が多く、最近では北米やアジア各国からの来日客も多くなっている。低俗な押し付けフレグランスに、繊細な日本文化を楽しみに来日する方々にとってみては、食事をする場所でさえ香料を漂わせる下品な日本人にも嫌気がさしてきている。
なにより、香料でアレルギーがあることなど諸外国の方々にとっては常識でり、異様で残念な日本を体験することになる。
≪カラー・白黒も含めると全4パターン≫↴↴↴
『公共施設等における香料等の使用に御配慮ください』https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/householdsgood/kouryoshiyou.html
また、周知のみならず、シックハウスや化学物質過敏症の専門医や専門家なども載せ、そして予防のために協力的な企業も一覧にまとめている。
『シックハウス症候群・化学物質過敏症に関する関係機関・団体リスト』
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/householdsgood/sickhousedantairist.html
薬務課の方々が担当している自治体という点も珍しい。
他の自治体では、香料による健康被害というと〝臭気〟と捉え『悪臭防止法』しか思い浮かばないのが通例。あるいは、保健関連部署に丸投げされるため、公衆衛生の問題から進展するまでが遅い。
一方、広島では薬務課のある程度予備知識のある方々が携わることで、他の自治体にはない視点でまとめられているように感じる。香料やタバコなどといった化学物質は、深刻な健康被害につながるという認識がベースにあるため、他にはないアプローチが見受けられる。
一般に市販されている商品について、薬務課が口をはさむようなことはめったにない。
山口県庁:無
〝シックハウス症候群及び化学物質過敏症について〟というリンクにとんでも、内容はシックハウス症候群のみ。↴↴↴
『シックハウス症候群について』http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a15300/sickhouse/sickhouse.html
しかも国が定めた基準の範囲内であればまるで害はないかのような表面的なもの。〝こまめな換気や清掃等が大事です〟と当たり障りのないことしか書けないほど。何も参考になる情報は得られない。
明治維新150年も経ち未だにかつてのプライドのまま取り残されていく感、過去の偉大な歴史にぶら下がることしか能がないのか。貴方方が成し遂げた偉業でもなく、その土地を引き継いだだけのこと。(県HPに毒を吐いておく)先祖の誇りを持つのも大切なことだが、改革ブランドのイメージどころか現状は保守固め。
平生町:町議会で挙がっていたが、その後の動きなし。
防府市:『化学物質過敏症の方は』
http://www.city.hofu.yamaguchi.jp/uploaded/attachment/30044.pdf
その他HP上の詳細な記述は削除。
ポスターは、何を訴えたいのか一目理解できなければ、せっかく作成しても周知されづらい。
また、他でも記載したが、化学物質過敏症患者だけが香水などの化学物質でアレルギー症状などを起こすのではない。逆に言い換えると、香料などにアレルギーがある人が化学物質過敏症という訳ではない。
※上記の島根県「しまねっこ」の辺りからの内容を参照のこと。
その辺のニュアンスで、誰でも発症するリスクがあると周知もされず、むしろ当事者意識のない人間を増やしてしまう可能性もある。
おそらく、このポスターを作成した当時は、香料などによる健康被害は化学物質過敏症患者が大半であったのかもしれない。しかし、いまや「香害」が社会問題化している。今後は、ぜひ現状に見合ったポスターを検討してほしい。
徳島県庁:無
香料などによる健康被害は、全都道府県で報告が確認されている。(日本消費者連盟調べ)それにも関わらず、なにも触れてはいない。※上記の島根県「しまねっこ」の辺りからの内容を参照のこと。
「VS東京」といった興味を引くキャッチーな施策も大切だと思うが、その土地の魅力をアピールする方法が少々ギャグっぽい。正直、そこまで魅力があるなら、若い人達はUターンを考える。
若い世代の声を積極的に自治に活かそうという動きは…地方ほど稀薄になる傾向にあるが、ここの自治体はどうなのだろうか。
香川県庁:無
何度でも繰り返し書くが、日本消費者連盟による調べにより、香料などによる健康被害は全都道府県から挙がっている。そして、香川県も例外ではない。
現に『県民の声』として切実な訴えが届いているのは、HP上で誰もが確認できる。≪2016年≫
その切実で苦痛な実情に対し、「日常生活に大変な支障をきたされている御苦労は、計り知れないものとお察しいたします。」この言葉だけでは何ら解決にはならない。
※上記の島根県「しまねっこ」の辺りからの内容を参照のこと。
また、健康福祉課のみに扱わせるような問題でなない。他の自治体では、他課との境界線など引かず連携していこうという動きになっているに関わらず、こちらは縦割り行政のやっつけ仕事の典型。
(別件も含め、他の『県民の声』も非常に興味深い、嫌味。うどん県それだけじゃない?…他に何がある。)
愛媛県庁:無
化学物質過敏症は呼吸器科の病院へ、建築物シックハウス症候群ならば保健所で相談を受けつける、と。ちょっと話にならない。
一歩譲って、シックハウス症候群なら相談を受け付けるとして、室内のホルムアルデヒド等の測定といった程度だろう。訴訟は手を貸すとして、治療や日常生活の助けになるような支援はないだろう。
病気は何でも治ると勘違いしたら大間違い。何でも保険診療で安く済ませられる国のため、医療に依存する傾向の強い日本人は病気になったらすぐ病院にいけば治ると安易に考える。
治療が難しいもの、ないもの程、『予防が原則』とい基本的な考えを以て臨まなければならない。
松山市:『香料自粛のご協力をお願いしています』
https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/iryo/hokenjo/eisei/kankyoueisei6.files/kouryouzishuku.pdf
市民からの声を反映し、香料や煙草などの多種多様な化学物質による健康被害深刻に受け止めて対応している。
『シックハウス症候群及び化学物質過敏症』
https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/iryo/hokenjo/eisei/kankyoueisei6.html
専門医のいる医療機関の情報や、簡単に治癒するものではなく症状の緩和のために専門家への受診をすすめている点が、非常に理解が深い。
相談窓口も設置し、日常生活において気を付ける点など記載があるのも、非常に有用と感じる。
高知県庁:無
ホームページ上では、とでも有益な情報がまとまっている。
『化学物質過敏症とは』
http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/130401/kagakubussitukabin.html
専門診療科としての国立病院機構高知病院の存在感を感じる。高知市の取り組みを支援するかたちで、県も積極的に動きはじめている。しかし、ホームページ内だけでは周知は難しい。興味関心の低い方々に対して、いかに働きかけるかが課題。
この問題は、香料や煙草、殺菌剤などによる健康被害は日常的なものであり、無関係な人間などいないということ。無自覚の内に地震の身体を蝕み、いつ誰が化学物質過敏症として発症してしまうやもしれない。
高知市:無
『化学物質過敏症』
http://www.city.kochi.kochi.jp/soshiki/36/kagakubussitukabinnsyou.html
※2018年9月調査
※殴り書きのため荒い文章ご了承を
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