漂白剤は、大きく分けると塩素系や還元系、酸素系といった種類があります。
還元系漂白剤はあまり耳慣れない方も多くいるようで、あまり一般的に使われるものではありません。
塩素系漂白剤は、衣類のみならず食器にも繁用できますし、ノロウィルスが流行っているシーズンになると必ずといっていいほどお世話になるものです。しかし、色物の衣類では色落ちの問題もあるので、普段から日常で使っている方は少ないかと思われます。
一般的な漂白剤といえば、酸素系漂白剤となりますが、〝液体と粉末〟とでは違いがあることをあまり意識せず使っている方も多いのではないでしょうか。
とりあえず、使い勝手の良さそうなイメージの液体の酸素系漂白剤を思い浮かべます。
ワイドハイターやEXパワーといった液体タイプです。毛やシルクなどを含む衣類にも使用できる漂白剤なので、そのメリットが無難な選択肢として消費者にとって都合がよいのでしょう。汚れた部分に直接ぬるだけ、というCMもあるので手軽そうなイメージがありますよね。
液体の酸素系漂白剤の液性は『酸性』で、主成分の過酸化水素( H2O2;オキシドール)が安定した状態です。
毛や絹など動物性繊維に負担をかけにくい漂白剤としてはBestといえますが、動物性繊維の主な構成要素は『タンパク質』です。タンパク質(動物性繊維)に負担をかけることなく、タンパク質汚れに効果はあるのでしょうか…。
それに落としにくいマヨネーズやドレッシングといった調味料は〝酸性の油汚れ〟です。しかも、酸素系漂白剤の効果を引き出すのは、アルカリ性で35度以上の湯なので、普段お使いになってる条件では効果的ではない可能性が高いのです。
一応、非イオン界面活性剤(AE;ポリオキシエチレンアルキルエーテル)も入っています。成分表示を見ずあまり気にしない方は、界面活性剤が入っていることもあまりご存じないと思います。これら非イオン系の界面活性剤は一般的におしゃれ着洗い洗剤に使われています。(エマールなど)
もちろん、これも毛や絹であっても洗える洗浄成分なので、タンパク質汚れに対する効果は弱いために、繊維に負担をかけにくい洗剤であるとも言えます。ただし、脱脂洗浄力があるのはAEなので、わざわざ液体の酸素系漂白剤を選び毎日使う価値があるかどうか。特に、闇雲に毎回に洗濯で洗剤と一緒に入れることを習慣としているのならば、それは意味のあることなのか?普段着ている衣類の素材も合わせて考えてみてはいかがでしょうか。
今時の冬物衣類などは羊毛・ウール素材というものからアクリルなどの化繊にとって代わり、ましてや絹(シルク素材)の衣類などめったに着る機会など圧倒的に少ないでしょう。
通常の洗剤にも脱脂作用のある(油汚れ・皮脂汚れに)洗浄剤は入っていますし、今時の洗剤には〝漂白剤入り〟の商品が多いですよね。洗剤は弱アルカリ性のものが主流なので、弱アルカリ洗剤(あるいは石けん)に漂白剤が配合されていることは、理にかなった事かと考えられます。
むしろ、弱アルカリ性で効果のある洗剤に酸性のものを混ぜてしまうことで、せっかくの洗剤の効果が弱くなってしまいませんか。その効果を維持するために、セスキや過炭酸ナトリウムなどのアルカリ化を補う必要性はないでしょうか。
そこまでするのは面倒ですよね。
同メーカーの粉末タイプの酸性漂白剤もまります。液体と粉末では、成分や性状も違えば、使い方も違います。
まずは、同メーカーのもの↴↴↴
液性は『弱アルカリ性』で、主成分は過炭酸ナトリウム( 2Na₂CO₃•3H₂O₂ )となります。さらに、アルカリ化剤である炭酸塩も配合。
過炭酸ナトリウムは、上の↑化学式からも分かるように、炭酸ナトリウムと過酸化水素が 2:3 の比率で混ざった炭酸ナトリウム過酸化水素化物です。炭酸ナトリウムは、重曹やセスキ炭酸ソーダと比べてもアルカリ性の強い炭酸塩です。
液体の酸素系漂白剤の場合、主成分は過酸化水素( H2O2;オキシドール)で酸性でしたので、この辺が粉末タイプのものと大きく違う点です。過酸化水素は酸性の条件で安定しやすく、逆に、液体がアルカリに傾くと活性化してしまうために長期で保管できません。
ですので、使いたいタイミングで水に溶かせば過炭酸ナトリウムによりアルカリ性に液性が変わり、過酸化水素( H2O2;オキシドール)の酸化力を持つようになります。
本来、過炭酸ナトリウムなどにもある炭酸塩アルカリ剤なので油脂汚れ(乳化)やタンパク質もある程度分解することができます。ですが、ワイドハイターEXパワー粉末タイプには、酵素も配合されています。
効果が高いことは間違いなさそうなのですが、今時の洗剤には酵素配合の商品は多くなってきています。また、最近では界面活性剤による問題よりも、酵素による肌トラブルが指摘されるようになってきました。洗い残し汚れによる部屋干し臭を隠すための抗菌洗剤や香り付き柔軟剤も、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎に悪影響があるとも言われていますが、酵素も衣類に残らないように注意しましょう。
『1回濯ぎも可』や『超節水型の洗濯機』の登場による要因もあるかと思われますが、部屋干しの生乾きトラブルもCMで多く取り上げられるようになりました。、洗濯機を製造する家電メーカーと洗剤メーカーのタイアップにより、さらに抗菌洗剤ブーム・香りブームが推し進められていますが、その裏で「大人のアトピー」など新しいアトピー対策商材も出回り、また「香害」という健康被害まで産み出されています。
これまで、いかにCMのイメージのままに購入し、考えもせずに洗濯をしてきたのでしょうか。
部屋干しの生乾き臭がするのは、雑菌が直接の原因ではなく、雑菌が繁殖するような皮脂汚れ・タンパク質汚れが残っているからなのに…。いくら抗菌剤入りの水で衣類を洗っても、無菌の場所なんてありません。
地球上は菌だらけなのに、自分の衣類が臭うのは菌のせいではないのに、菌と戦うように仕向けるCMのイメージ戦略に簡単に取り込まれてしまっていますよね。
こちらの酵素入りの粉末タイプ酸素系漂白剤は、生乾き臭の原因になるような、皮脂やタンパク質汚れもしっかり対処してくれる成分が入っています。あとは、いかに効果的に使うかがポイントかと思います。(※下記後述)
もう一方で、最近の主流になっている洗剤の多くに酵素が配合されているので、そこまでして配合しても製品の単価を上げてしまうだけではないだろうか、と疑問に思います。そして、酸素系漂白剤は、界面活性剤や酵素なども配合せずとも、油に対する乳化作用や、タンパク質分解作用があります。使い方次第で、効率アップ・時短もできて、添加されている洗浄助剤などなくとも問題なく効果的、むしろ濯ぎ工程など念入りにする必要もなくなり手間が省けます。
また、他の酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)の方が、衣類以外にも様々な用途に使えて便利な上に、安くあがります。
過炭酸ナトリウムは、2Na₂CO₃•3H₂O₂ でした。
ここから、酸素を発生させるアルカリ性の液体にして浸け置き洗濯をします。
1番効率よく汚れを落としてくれる温度が50℃です。50℃の湯に粉末の過炭酸ナトリウムをいれると一気に酸素がブクブクと発生してしまいます。50℃以上での使用に注意するよう商品に記載もあります。
最大の効果を引き出してくれる温度ではありますが、浸け置く時間だけ長持ちはしません。それに、普段の日常生活で、お洗濯のために50℃のお湯を用意するのは、あまり現実的ではありませんよね。
温度は40℃前後あれば問題ありません。(※30℃~50℃の温水推奨)風呂の残り湯が少し冷めてしまったとしても、30℃台後半くらいはあるかと思います。浸け置く時間は30分~1時間程度が一般的でしょう。
こちらを利用するのが、効率的かつ現実的ですよね。
風呂で全身を洗い終わり、湯船につかる前にバケツに少し湯を汲んで浸け置きを始めてもいいですし、風呂上りの湯船ごと浸け置き用の樽の代わりにしてもいいと思います。その後、風呂場で使うバスチェアなどの備品や、掃除用スポンジやブラシの垢汚れにも。
そのまま過炭酸ナトリウム入りの残り湯を流せば、排水口の掃除にもなります。これをシンクに流せば、台所の排水口詰まりの予防にもなり、悪臭の対策にもなるので一石二鳥。
※ただし、過炭酸ナトリウムはステンレス以外の金属と反応してしまいますので、長時間の使用で錆びてしまうことも考えられます。衣類の装飾品やチャック、金属製の染料などご注意ください。
過炭酸ナトリウム配合の酸素系漂白剤のものや、他の成分は何も含まないものなど。値段や使い勝手など含め、比較してみてください。
◆オキシクリーン
オキシクリーンの成分は、過炭酸ナトリウム(酸素系)・炭酸ナトリウム(洗浄補助剤)。
界面活性剤や酵素など入っていないので、幅広く使える商品です。オキシクリーンのみで衣類の洗濯も可能なのですが、日ごろ使っている洗剤や石けんが弱アルカリ性であれば、その洗浄力を上げる助剤にもなります。
◆シャボン玉石けん 酸素系漂白剤
こちらは、成分:過炭酸ナトリウム(酸素系)のみ。
無添加にこだわったブランドとして有名ですが、単一成分で何も混ぜ物のない商品としては、意外とグラム当たりの金額は高くないです。
裏面には使い方の一覧も載っていますし、最近のナチュラルクリーニングブームで商品の取り揃えのあるドラッグストアも増えてきました。公式ホームページで、使い方の詳しい説明も写真付きで載っているので、ナチュラルクリーニング初心者でも大丈夫です。
余計な成分が配合されてないブランドを貫く信頼に値するメーカーは他にはないのではないかと思うくらい、いい意味で頑固。長年に渡って愛用しているファンも多く、やっぱり信頼は厚いメーカーだなという印象。
こちらも、成分:成分:過炭酸ナトリウム(酸素系)のみ。
500g包装で手頃なサイズということもあり、過炭酸ナトリウムの取り扱いのある店舗では大概この商品が置いてあることが多いと感じます。
ミヨシも無添加石けんなどナチュラルクリーニングで有名なメーカーですよね。
昔ながらの商品を大切に作り続けるというのは、なかなかできることではありません。
大手洗剤メーカーは、次から次にいろんな成分を配合し、新製品を作り出すことに必死になっています。メインとなる成分は変わり映えしないのに、キャッチーな宣伝文句を変え、価値の下がった旧製品の代替商品として出てくるだけ。
結局は、余計な添加物が入っただけで、CMであんなにもドラマチックに劇的なショートストーリーを創作してしまうものなのでしょうかね。メンヘラな視聴者の妄想力を刺激するCMは、とても痛々しいです。
かなりお得な商品もありますね。
この激落ちくんシリーズは、100円均一のダイソーでも売っているのを見かけたことがあります。
シミ取りでちょっと使いたい、排水口の嫌な臭いに少し試してみたい、ハイターは台所で使いたくないんだよね…という方にもチャレンジしやすいですよね。
過炭酸ナトリウムだけでなく、重曹やセスキ、クエン酸などもあるので、とりあえず試してみたい、という方には100円は丁度いいと思います。
過炭酸ナトリウムといえば、衣類のシミ抜きに使われるのが一般的なイメージかと思われますが、上記でも記載した通り、洗剤や石けんの洗浄力を上げる効果もあります。いつもお使いの洗剤や石けんに追加して入れることで、洗浄助剤としても使えます。
汗などの酸性の汚れで洗浄力が落ちてしまうようなことがないようにアルカリ化剤としても、酸素の発砲を利用した漂白剤としても効果を発揮します。
洗濯機に過炭酸ナトリウムと温水を入れ、定期的に洗濯槽洗浄をする方もいます。わざわざ、洗濯槽専用の洗浄剤を買い足さなくてもいいので、経済的に衛生管理ができます。
また、洗剤や石けんなどなくとも、アルカリ洗濯もすることができます。水に溶けやすいセスキ炭酸ソーダや過炭酸ナトリウムもアルカリ剤として使用する洗濯を〝アルカリ洗濯〟といいます。
界面活性剤や抗菌剤・酵素などの洗い残しによる肌トラブルも避けられますし、陰イオン界面活性剤の残留によるキシミも無いため柔軟剤を使う必要もなくなります。
衣類だけでなく、食器の洗浄に効果的です。
あまり頻繁に、塩素系の漂白剤をキッチン回りで使いたくないわ…という方にも抵抗なく使いやすいのが酸素系漂白剤のいいところです。ステンレス製の水稲などの底にも茶渋がこびり付いていることもありますので、なかなか力を入れて擦れないような細かい部分まで汚れが取れやすくなります。
魚焼きグリルも浸け置きするだけで、一気にお掃除がはかどります。
食器や台所用の布巾などの浸け置き洗いが終わったら、排水口の網やバスケット、シンクの三角コーナーもキレイに洗浄することができます。
また、浸け置くだけでなく、過炭酸ナトリウムを溶かした温水を布巾に含ませて、コンロ回りやオーブン・レンジの中の油汚れのふき取りも可能です。
残った過炭酸ナトリウムの水が、臭いの気になる排水口などに流します。
流れが悪くならないか心配な方は、50℃程度の温水を流し込めば一気に発砲・分解します。それを逆手にとって、低温の過炭酸ナトリウム水を排水に流し、排水管深くまで行き届かせた後に50℃程度の温水を流し続ければ排管洗浄もできます。