柔軟剤は、なぜか使うことが当然のように思っている方も多いと思われます。しかし、柔軟剤の歴史はとても浅く、衣類を柔軟に仕上げるためとしつつもイマイチ効果も実感できず、今は香りをつけることを目的かのような宣伝が多いと感じます。
また、汗の匂いや生乾き臭を抑える柔軟剤も数多くありますが、やはり強い香り刺激で体調を崩す・・・という声も多くなっています。
シーズンによっては、花粉がつきにくい、PM2.5対策に、という商品まで店頭に並びますが、そもそも香料等により花粉症などアレルギー症状をより強く引き起こしてしまいます。(アジュバント効果)
そして何よりも、主成分である陽イオン界面活性剤が皮膚トラブルを起こしやすいのです。お肌のために、ふわふわ衣類に仕上げるつもりでも、それはテレビCMの影響を受けているだけなのかもしれません。
なんだか良いイメージもあるけれど・・・柔軟剤も界面活性剤です。その界面活性剤でコーティングするデメリットはなんでしょうか。
今回は、①肌に、②洗濯機にもよくない、と2つの点に分けて紹介していきます。
こちらが、巷で訴求ポイントとして紹介されている柔軟剤のメカニズムです。
親油基が衣類の表面を覆って繊維を柔らかくするのなら、親水基に水が引きつけられても油のコーティングで弾いてしまいますよね…(矛盾しているのです。)
そうです、柔軟剤のメカニズムについては様々な研究がされていますが、企業が取って付けたような推論でしかありません。
実は、ドイツ環境省は 「柔軟剤はその効果に関して最も疑問点の多い日用品」 であると報告書にまとめています。〔環境・医療情報サービス:docplayer.org/28395056-Umweltmedizinischer-informationsdienst…☜〕
界面活性剤が繊維の表面に吸着し乾燥すれば、衣類の汗の吸水性も悪くなりますし、洗顔後や風呂上りのタオルの吸水性についても当然のように落ちてしまいます。
肌に直接触れるタオルや肌着などには使用しない?…とはいっても、肌に触れない衣類にだけ使用するには、仕分けが面倒です。
また、洗剤の主成分は陰イオン合成界面活性剤なのに対して、柔軟剤の主成分は陽イオン合成界面活性剤です。
洗剤で洗ったのち2~3回濯ぐのが一般的ですが、洗濯機の機能にまかせておくと柔軟剤が投入されるのは最後の濯ぎ工程です。
洗剤の濯ぎ残しがあると何となく嫌だな~と思うのに、柔軟剤(陽イオン合成界面活性剤)については濯がずに脱水、乾燥していますよね。
陽イオン合成界面活性剤の皮膚刺激性は知られていますが、泡が立たないので問題ないと思われがちです。でも実は、陰イオン合成界面活性剤よりも濯ぎの必要性があるのにも関わらず、漠然と使用して気付かないうちにアトピーや皮膚炎の原因になっていたりします。
肌荒れで悩むことがあれば、何か(化粧水や薬)をプラスする前に、柔軟剤を止めてみるのはいかがでしょう?何かをプラスすることよりも、まず試すならマイナスを。
柔軟剤を洗濯槽に付着させたまま乾燥させると、洗濯槽にもコーティング膜を生じてしまいます。
上記で触れたように、最後の濯ぎ工程で柔軟剤が投入されるため、そのまま洗濯槽も洗濯機側も陽イオン界面活性剤でコーティングされてしまいますね。
洗濯機の分解清掃を業者にお願いして、一度フィルターから排水ホースから交換・洗浄してもらいましょう。
特に、洗濯槽の上澄みの方に分厚く黒い膜で覆われてしまっています。柔軟剤のコーティングがカビで覆われているのです。
この状態で洗濯していると想像すると、柔軟剤って本当に使う価値あるのか?と疑問に思います。
抗菌効果を謳う柔軟剤であっても、全ての菌を抑えることは不可能ですし、これからもどこでも常在菌と共に生活していくのです。
でしたら、雑菌が繁殖するような培地を洗濯機に作らないような方法を選ぶべきではないでしょうか。そして同時に、故障の原因として最近多くなっていますので、その点も考え直したいですね。
また、洗濯槽の陽イオン界面活性剤の膜を洗い落すために、次回に投入する洗剤(陰イオン界面活性剤)を多く必要としてしまい、肝心の衣類汚れに洗浄力が足りなくなってしまいます。
もちろん、前回の衣類に付着している柔軟剤成分を落とすにも、洗剤を必要とします。これでは、肝心の衣類の洗浄の方がおろそかになってしまいます。
家庭でできる洗濯槽洗い洗浄剤もありますし、頻繁に洗濯槽洗いをすれば少しは違う結果になるのかもしれません。しかし、それ以前に「洗濯機を不衛生にする原因を取り除くこと」が優先されるのではないでしょうか。
いままで柔軟剤を使うことに疑問を抱いたことのない方は、少々不安に思うこともあるかもしれません。
でも、他の柔軟剤なら大丈夫かも・・・と新商品を買わせようするサイトを見る前に、プラスして何かを購入するより、まずはマイナスから。
それでも、やはり心配な方は、クエン酸を利用してみてはいかがでしょうか?
クエン酸なら今時は100円ショップでも購入することができます。もちろんドラッグストアでも。
石鹸百科HP〔クエン酸の使い方〕:https://www.live-science.com…☜を参考にさせてもらい、洗濯水30Lに対しクエン酸が約1gという比率で作ってみましょう。
クエン酸水溶液を作って、その10mlを使えば1gのクエン酸が含まれるように作ります。(洗濯水30Lに対し、約10mlを目安に柔軟剤投入口に入れます。)
【写真<左上>】500mlで作る場合はクエン酸50g、350mlに対しては35gという計算になります。(計量スプーンで簡単に計り取れる量です。)
だいたいの目安量として記載されていますので、厳密に計る必要はありません。
クエン酸と水だけなので、万が一、口にしても健康に悪影響がでる可能性は極々少ないですが、念のため注意しましょう。特にペットボトルでの保管は、誤飲のリスクがあります。小さなお子様の手には届かないところで保管してください。
その点、スプレーノズルに付け替えて保管すると安心ですし、便利です。ノズルだけの購入も100円ショップで可能です。そして、クエン酸スプレーを雑菌の繁殖しやすいところにスプレーしたり普段使いにも有効活用できます。
クエン酸の力で、衣類の黄ばみ・変色・ニオイの原因を防ぐと同じように、台所まわりの雑菌対策~三角コーナーの臭い対策などにも効果があります。
ちなみに、ペットボトルのキャップの容量を計ったところ、約7ml超。表面張力いっぱいで7.5mlでした。参考までに記載しておきます。
お好みでグリセリンを入れたり、ペットなどを飼っていない家庭では好みのエッセンシャルオイルやアロマオイルも数滴加えて使う方もいらっしゃいます。
酸性の水溶液は、衣類や洗濯槽、排水ホースの雑菌対策としても有効です。
※「混ぜるな危険」と記載のあるような、塩素系の漂白剤とは混ぜないようにご注意ください。
クエン酸の柔軟剤に変えるメリットは、衣類や洗濯機に留まりません。界面活性剤の柔軟剤はシリコン系、そして香料や抗菌剤など揮発しています。部屋の中で循環している空気によって、換気扇や空気清浄機、エアコン、ファンヒーター等のフィルターの目詰まりを起こしやすくなります。要は油汚れですから、さらにホコリや雑菌なども繁殖しやすい環境をつくりだしている点も故障のリスクもデメリットの1つとなります。
クエン酸の柔軟剤に関しては、大手洗剤メーカーは否定的です。自社の陽イオン合成界面活性剤の柔軟剤が売れなくなっていしまうため、「クエン酸は、洗濯に石鹸をつかったとき専用の柔軟剤」だとするアナウンスまでしているようですが、そのようなことは決してありません。吸水性も損なわずに、陽イオン合成界面活性剤フリーで肌へのダメージも少なくなります。
メーカーどうにか自社製品を売ろうと、時として誠実とは言えない宣伝をすることもあります。またテレビCMとはイメージ戦略であることを頭の片隅に、今一度賢い選択をしているが冷静に考え直してみてはいかがでしょうか。
余談ですが、公立学校の家庭科では、このようなことまで教えているところは少ないようです。むしろ、洗濯の実習カリキュラムまで組む余裕はないのかと。一方、私立では家庭科という扱いの他に、理科の実験で石鹸と洗剤について学ぶところも多くあります。
その際、界面活性剤のことのみならず、酵素や蛍光増白剤、pH依存的な洗浄力の変化、硬水~軟水における界面活性剤の実験など、化学に興味を持つきっかけになるとのこと。もちろん児童生徒の授業に使う洗浄剤は、石鹸・洗剤とも添加物の少ないもの、直接手を触れるものに酵素や蛍光増白剤、殺菌剤などは使いません。
洗濯した衣類のゴワつきは、洗浄剤のアルカリ性によるものとされる意見が多いのですが、実はそれ以上に大きな理由があります。それは合成洗剤です。
どういうこと?・・・
陰イオンン合成洗剤の洗浄活性はアルカリ性で最適となりますが、石鹸も同じアルカリ性にも関わらず「柔軟剤は不要です」と説明に書いてある商品まであります。
それは生分解性と残留吸着物が問題となります。
上記でも紹介しましたが、柔軟剤の陽イオン合成界面活性剤を落とすためにも、洗剤の陰イオン合成界面活性剤を消費します。柔軟剤が落としきれなかった繊維(+イオン)に、洗剤成分(-イオン)が吸着し、合成界面活性剤が沈着していってしまうのです。
同時に、洗濯物の生乾きの臭いの原因にもなります。
日本では、生分解性の悪い合成界面活性剤の管理規定はありますが、規制する法律はありません。合成洗剤の全てが「悪」ということはありませんが、生分解性のある程度良い洗剤や、非イオン系合成界面活性剤などであれば、柔軟剤は必要なくなります。
石けんに特化したメーカーの一部ですが、商品とともに挙げてみました。
合成洗剤メーカーが謳う〝無添加〟とは一体何が無添加なのか疑いを以てしまいますが、シャボン玉石けん社をはじめとする会社は原料の確保から自然環境に向き合っている、知る人ぞ知る企業です。
合成洗剤であれば水質を選ばないというメリットはありますが、日本の水道水は硬水ではないため問題にはなりません。
「柔軟剤を使わなくても自然な仕上がり」という商品であれば柔軟剤がなくても結果的に経済的ですし、洗濯槽も界面活性剤のコーティングがない分かんたんに洗浄を済ませられます。
石けんカスによるカビ等の発生は、洗剤と同様に起こり得ることですが、心配な方はたまにクエン酸の柔軟剤を使用してカビの発生を予防しましょう。
タオルや肌着にだけクエン酸の柔軟剤を使用するという方法もあります。
どんなに生分解性が良いといっても、界面活性剤の洗浄力はアルカリ性域で力を発揮します。そして、アルカリ性で皮脂汚れや角質を分解することもできるのです。
これまで、セスキ炭酸ソーダや過炭酸ナトリウムといったアルカリ化剤を利用した洗濯方法がよく知られていました。洗剤や石けんの洗浄力を挙げる助剤としても非常に有効です。
汗をかいただけの衣類であれば、洗剤を使わずアルカリ剤のみで洗濯をする方も多く、それをアルカリ洗濯と呼びます。
ここ最近、そのアルカリ水の洗浄力をさらにパワーアップさせた洗濯用品が話題となっています。これまでの常識を覆す、といっても過言ではない商品だと感じます。↴↴↴
ランドリーマグちゃん:https://magchan.com/☜
水素のアルカリ水?…と、最初は怪しげな商品かと思いました。しかし、原材料もシンプルな設計、そしてマグネシウム加工のスペシャリストとして理論上も使用方法も理にかなった商品だと納得です。(宮本製作所:https://www.miyamotoss.co.jp/☜)
これまでは、アルカリ化剤としてセスキ炭酸ソーダなどを使用してきましたが、アルカリ性の洗濯水を作ることができれば方法は何でも構わないのです。
洗剤や石けんの助剤としても、商品のみの使用でも、繰り返し300回使用することができます。「すすぎ1回でOK」という洗剤もありますが、泡立たないだけで残留物も多いという指摘もありつつ、一方このマグちゃんのみで洗濯をすれば濯ぎ残しの心配はなく、濯ぎ回数も1回で済むので節水にもなります。
消臭力・洗浄力・除菌力ともに文句なしのデータがあり、洗濯槽や排水ホース、排水溝の汚れもマグちゃんの使用とともに徐々に除去してくれる効果もあります。
泥汚れ・ドレッシングやケチャップなどの強い酸性の油汚れのみ、石けん等で予洗いし、あとはマグちゃんと一緒に洗濯すると、非常に経済的だと感じました。(ドレッシングなどの酸性油汚れも、マグちゃんだけで落ちるというデータもあります。)
そして、なによりも安心して毎日身に着けることができますし、子どもたちの将来のために環境負荷を少なくすることができます。
生協や百貨店、ホームセンターなどで取り扱うお店も増えています。
根拠に乏しい〝赤ちゃんにもやさしい〟とする洗剤・柔軟剤もあります。出産準備&お祝いに、この商品を送ったら非常に喜ばれます。
これからは、柔軟剤に振り回されない生活を手に入れることが簡単になりましたし、その選択肢の幅も広まったと感じます。また、重たい洗剤をたびたび購入し持ち帰る苦労もなくなります。
ランドリーマグちゃんと石けんで、普段の洗濯はほぼ対応可能となります。
今回ご紹介した中で、ご自宅に合った方法をぜひ試してみてください。
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分かりやすい解説でとても勉強になりました。
合成洗剤と石鹸の希釈液をタップミノーの水槽に入れるという実験を見てから、石鹸派になりました。最近はアルカリ洗濯、マグネシウム洗濯です。石鹸より厄介でないので気に入っています。
生後3~5ヶ月に頻繁に洗剤を使うと、3歳までに喘息になる確率が高くなるという論文がカナダで発表されました。香料やスプレータイプの洗剤の悪影響も書かれていました。日本ではダニが悪者になっているので、よく使われる傾向の商品です。
今回、コロナウィルスの影響で消毒用アルコールがなくなり、妹が代替えに、ある洗剤を希釈して使うようアドバイスされました。その成分の安全性を調べているうちにこのサイトを見つけました。
予防に過敏になるあまり、ウイルスに対して弱い身体になっていくような気がしています。