2018年6月5日、新聞の一面を存在感のある広告で問題提起し、社会的に大きな賛同を得たことはまだ記憶に新しい…
この広告が消費者間で広まり、当日のテレビCMから一変しました。
そして、広告掲載から1か月、新たな商品戦略も垣間見えてきました。
シャボン玉石けんのホームページ:https://www.shabon.com/kougai/☜に詳細な記載があります。
この毒々しい広告に、ついつい目が釘付けになった消費者も多いことでしょう…
この広告の賞賛たる理由は、大手企業を敵に回してでも〝消費者の健康を守りたい〟という企業理念を貫いてきた姿勢です。
ホームページ内には、「香り付き洗濯洗剤に関する調査」の結果や、柔軟剤や洗剤による健康被害の事例集もあります。
そして、リンク一覧には、患者団体・大学病院も並び、厚生労働省やその他の地方自治体まで名を連ねていることにより、説得力を増していることが伺えます。
ホームページの内容やリンク先も非常に公共性があり、保育園や学校、職場に説明する際に有用です。
この翌日、シャボン玉石けんのツイートが、大きな反響を呼んでいたことから消費者も声をあげ始めました。
社員と消費者の健康を第一に貫くことは、決して企業として楽な道のりではありませんでした。大手の合成洗剤が経済的にも大き影響力をもつなか、何度も経営危機に陥ったと社長は語ります。
それでも、会社を上場しなかった理由に『大手P社の〝無添加部門〟にされてしまうだけだ』と仰ってました。
偽りの「無添加商品」が世に出回り、消費者を陰で欺きつつ台頭する大手企業もあるなか、ここまで信念を貫くことは並大抵のことでは成し遂げられません。
そんな消費者も心配するなか、警鐘広告は続きます。
こちらの広告も、さらに多くの消費者の心を動かしました。
というのは、「香り付き洗濯洗剤に関する調査」は20代~50代を対象をしたものです。大人であっても、頭痛、めまい、吐き気、関節痛など体調不良になったことがある方は59%もいらっしゃいます。
その点、体積の小さい子供がどんな状況にさらされているのかと想像すると心が痛みます。特に乳幼児~小児は、まだ嗅覚は発達途上です。
原因に気付けないまま体調不良を訴える、潜在的な子供も多くいると考えられます。
さらに他のメディアも注目し始めます。
6月11日の朝、TOKYO MX の「モーニングCROSS」では…
〝注目ニュース1位〟として、シャボン玉石けんの広告の話題を報じました。
番組内のみんなの意識調査にて、『Q.柔軟剤などの人工的な香りを不快に感じますか?≪感じる/感じない≫』の投票を受け付けたところ、
◆感じる→→2043票
◆感じない→1470票
なんと、合計3513票のうち、不快と感じ方る方は58.2%もいらっっしゃるとの結果となりました。
こちらの調査では『不快か』が焦点となっており、シャボン玉石けんの調査では『体調不良』を集計しているため一概に比較はできません。
しかし、サンプル数の多さには納得いく結果となりました。
そして、朝8時前の投票に参加できた方の層を推測すると、子供は登校し、仕事のある方は既に外出されている方も多い時間帯です。
職場や学校のみならず、店頭や公共施設など…日常の何気にない生活の中であっても、人工的な香りが溢れ迷惑している方も多いことが推測できます。
また、自分が不快に感じた香りでも、その相手の方は良い香りだから使用しています。ですから、その逆も然り。自分が良い香りと思って使用していても、相手には不快な香りかもしれないと、そこまで気付いているでしょうか。
「自分はそんな嫌な臭いじゃない」「そんなに強く香ってない」と思ってる方も改めて…「他のみんなが使ってる商品の香りが強いだけ、自分は大丈夫!!」と思っていませんか?
なぜかというと、香料には習慣性が強く影響するからです。つまり、香りに慣れていき、自分で自分の香りに客観的な判断ができなくなるのです。
そして、そんな方々が多く集まる場所のことまで想定していますか?
〝香り〟を売りにした商品のCMは、格段に少なくなりました。
しかし、『香害』は外国製の柔軟剤のみを指していると思い込んでる方もいます。
日本の柔軟剤であっても香り刺激の強い商品が多々あり、その香りが持続する高残香性商品が多いのも特徴です。
そして、「消臭」「抗菌」といった効果をうたった商品は、香りが強くないと思いがちではないでしょうか。
商品の成分表示に、あえて〝香料〟と記載しない商品も多くなってきました。
そうです、察しの良い方はお気づきかもしれませんが、〝洗剤・柔軟剤・洗濯ビーズ・除菌&消臭スプレー〟は日用雑貨品に分類されるため全成分表示義務はありません。
厚生労働省や、環境省などでも成分を把握できない商品なのです。
「消臭」「抗菌」効果を売りにした商品…
まだほんの一部に過ぎません。挙げれば切りがない程、「消臭」「殺菌」ブームは過熱しています。
そして、消臭の為に購入した商品のはずが、強い香りを付けているだけ…をまた繰り返してしまいます。これでは「香害」と話題になった以前と変わりないですよね。
企業の宣伝文句が変わっただけのことで、〝香り〟を売りにしていなくても「香害」です。
「消臭」「防臭」「無臭化」「臭い戻り無し」…訴求の仕方はメーカーや商品によりけり多々あります。ですが、ベースは同じようなものです。
●臭いを包み込む?:トウモロコシ由来成分、あるいは、ポリウレタンや樹脂などでできたマイクロカプセルで、あらゆるものを包み込みます。しかし、いずれの成分であっても、半永久的に臭いの元を包み込んだ状態を維持することはできません。劣化・分解し一部沈着、また揮発します。
沈着したトウモロコシ由来成分は、雑菌繁殖の温床になりますし、揮発した有機物質を吸引する危険も指摘されています。
●鼻粘膜刺激と香料:臭いを感じにくくするためには、清涼感のある刺激成分で粘膜や嗅覚を覆います。そして、その刺激が心地よい香りであると感じるように、合成香料で調整されています。いわゆるマスキング剤です。
消臭効果を実感しやすくするためには、清涼感が強くするという特徴があります。そして、清涼感を感じさせるための成分は、香料にも分類されない有機溶剤が使われています。
これらの成分も、マイクロカプセル技術を利用することで、劣化のたびに成分を放出させて効果が続いているように感じさせます。
※マイクロカプセル技術については、各社ごとに特許を取得しています。詳しくは、特許情報を確認ください。
●QUAT:四級アンモニウム、あるいは陽イオン界面活性剤、逆性石けんとも呼ばれる成分の分類です。
特に、多々ある研究で「塩化ベンザルコニウム」であるとの報告があり、今のところ有力です。しかし、他の四級アンモニウムを合成し直して変えることはいつでも可能です。
「塩化ベンザルコニウム」は病院でも必要不可欠ともいえる消毒薬の1つです。医療用なら安心じゃないの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、用途に合わせて濃度を調整しなければなりませんし、使用中の細菌汚染や保管温度にも注意が必要です。つまり、用途が限られ抗菌スペクトルの狭い消毒薬は、抵抗性を示す緑膿菌などで汚染されるリスクが伴います。院内感染でよく問題になる菌を、家庭に居ながら増殖させてしまうのです。
病院では、本剤の作り置き等は制限されるなどのルールがあります。そして、消毒薬として生体に使われることは、もうほとんどありません。
そのような成分を、毎日触れるものに付着させて本当に大丈夫だと思いますか?そして、柔軟剤は最後に濯ぐ水に混ぜられるものであって、柔軟剤の成分は洗い落としません。衣類に残留したまま肌に触れるため肌荒れを起こすのは、陽イオン界面活性剤による細胞膜障害作用です。柔軟剤そのもの主成分も陽イオン界面活性剤が主流となっているので、界面活性剤の種類も賢く選択していかなければなりません。
そもそも柔軟剤の主成分(陽イオン界面活性剤)にもある程度の抗菌作用があります。その柔軟剤を使用していても洗濯槽にヘドロが付いてしまうにも関わらず、さらに「塩化ベンザルコニウム」を毎日使用していたら耐性菌を洗濯物に付け、洗濯槽で増殖させていることになります。
「塩化ベンザルコニウム」を誤飲した高齢者が死亡した例や、アレルギー反応、中毒症状も確認されています。特に、お子様の身の回りのものに、安易に使用することは控えましょう。
※「塩化ベンザルコニウム」とは、どんな時に使用するべき消毒薬なのか、医者にかかった際など看護師さんへ聞いてみるとよいかもしれません。また、ドラッグストアなどでも購入できますので、使用方法や注意点なども調べてみるのもよいでしょう。
※成分表示はQUAT(有機系)と記載があっても、メーカーに問い合わせると「安定化二酸化塩素」が代替成分となっている旨の回答を頂く企業もあります。ガス状に揮発させる置き型タイプの商品は既に切り替わっている可能性は高いですが、確認のしようがありません。また、二酸化塩素であれば安全であるという確証はありません。
また、99.9%除菌できても、翌朝には細菌数が同じ数に戻るかそれ以上にまでなっています。さらに細菌業のバランスが変わり、それまでの常在菌の種類と変化していきます。使い続けることで、より凶悪な細菌を増やすことになってしまいます。
つまり、日常生活を共にする常在菌を変化させ、そこに暮らす人間の免疫システムまで狂わせてしまいかねないのです。
どんな医師その他の国家資格であっても、メーカーのマーケティングに都合よく利用されるということは珍しくありません。医師など研究職は莫大な研究資金が必要であり、偏りのあるメーカーから資金提供を受けた場合、意に沿う研究内容を成果として求められます。
最近では、タバコ資金で行われた研究の論文投稿や学会発表は禁止とする学会での動きも相次いでいます。科研費で検索してみるなどすると、金の流れも含めて客観視できることも多いのです。
さて、臭気判定士は、まだあまり耳馴染みはない方も多いと思われますが、国家資格の1つです。
環境省の悪臭防止法に基づく資格で、かつては環境計量士の仕事を嗅覚で補う仕事などが大半でした。最近では、消臭剤メーカーで商品の開発や性能を評価する部署で働く方も知られるようになってきたようです。
嗅覚検査は、正常な嗅覚であるかの検査であり、敏感である必要は無いとのこと。嗅覚検査だけの合格率は90%以上(統計的には95%)であるが、筆記試験の合格率が30%前後とあるため、特段に臭気を繊細に嗅ぎ分ける能力があるわけではなく、絶対嗅覚を証明するものではありません。
今、大手企業がまだ耳慣れない臭気判定士を利用し、臭気恐怖症を煽る消臭剤マーケティングを始めているのです。
そもそも臭気判定士とは、平成8年改正の悪臭防止法に施行に当って創設された国家資格です。
こちらの資格試験を取り仕切っているのが、におい・かおり環境協会☜…臭います。
「悪臭公害研究会」に、2003年から〝良好なかおり環境の形成〟を事業に加え、名称を今の協会に変えています。
研究紹介で「香りマーケティング」にも言及。〝アロマセラピー用のアロマだと思うか、殺虫剤のにおいだと思うかによって、脳の反応は全く異なり、その結果、そのにおいの快不快や順応などのパターンも異なる〟とし、知覚と心理学の分野を研究されている方です。http://www.bsc.tohoku.ac.jp/researchers/sakai_n/☜
実はこちらの方も、におい・かおり環境協会の関係者。
2003年 におい・かおり環境学会学会誌編集委員
2006年 におい・かおり環境学会学術賞
2009年 におい・かおり環境学会ベストプレゼンテーション賞
2017年10月25日に放送されたNHKクローズアップ現代プラスに出演し、
「ネガティブな体験とすると心拍数の上昇、多汗などの身体症状が出てくるし、ネガティブな匂いは個々の経験にも左右する。体臭に寛容になるには、人間関係も寛容になる必要がある」、〝体臭〟と〝香料〟の問題を全てまとめて寛容性に欠けたネガティブな人間関係によるもの、との非科学的な発言が叩かれました。
におい・かおり環境協会の会員名簿:http://orea.or.jp/data/meibo.html☜より(香料・消臭剤メーカー)御察し案件となります。
「香害」企業の御用学者としての立場ですが、「香害」警鐘広告により心理学で説明しようにも困難な流れとなり、殺菌・消臭・防臭マーケテイング戦略に表面上の変更があっただけなのです。これまでの利権構造は同じですね。
におい・かおり環境協会の全てが悪という訳ではありません、むしろ真面目に活動されている方が多くいらっしゃるかと思います。
問題は、その協会を支援する立場で、思惑に合致する人間を消費者を欺くために利用する企業もあるということです。
今、臭気判定士という肩書を利用して、「香害」問題を〝嗅覚をとらえる側の人間の責任〟にし、殺菌・消臭・防臭グッズを安全な商品として売ろうとする動きが大きくなってきています。
上記でもお伝えしましたが、洗剤・柔軟剤・洗濯ビーズ・消臭殺菌剤(スプレー)は日用雑貨品です。厚生労働省も内容成分を把握できない現状なので、殺菌・抗菌剤を使用する場合は用途に合った消毒剤を使用方法を守って使用するべきです。
消臭剤を撒きたい場合は、必ず低揮発性製品かどうかの確認をしましょう。日本企業で、そこまでの安全性を試験してるメーカーはまだ少ないかもしれません。低揮発性製品は、生分解性の良い重曹やセスキ炭酸ソーダなどで製造されています。100円均一でも手に入るので、手作りで対応できますし、1番安心です。
シャボン玉石けんの身を挺した「香害」警鐘広告に、多くの人間が勇気をもらいました。ありがとうございました。