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「香料アレルギー」香りの強さの問題ではない|天然香料と合成香料|香害

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「香り」と聞くと、割とポジティブな印象を受けやすい日本…良いイメージを連想させることが多いのではないでしょうか。

「良い匂い」を「香り」と表現し、逆に「悪い匂い」の場合は「臭い」の字を当てることが多いですよね。

昨今、「香り」をエチケットとして身にまとう企業戦略にのせられ、香り付き製品が日常生活に溢れています。

よって「香り」という商品名の付いたものは、嫌がられるはずはない・・・と思い込みがちです。

もともとフレグランス文化も未熟で、規制もない日本で、様々な健康被害を訴える方々が急増しているのはもうご存知のはず。

しかし、まだ根本的な理解を得られていない〝香害問題〟を、香料という点にフォーカスしてみようと思います。

天然香料と合成香料

『天然香料』:

動物や植物から抽出・圧搾・蒸留などの手法や、酵素処理を得られる香料のことです。

花や木、果実などの植物から得られる植物性天然香料が香料のほとんどを占め、その他、食肉類や甲殻・魚介類を原料としたものを動物性天然香料です。

尚、「天然アロマ」と混同されますが、同義ではありません。あたかも天然にこだわっているかのような宣伝している企業があれば、注意してみましょう。

※日本では、香りを放つ芳香性物質を曖昧にする言葉が多いですが、100%天然由来のアロマであればエッセンシャルオイル(精油)と表示されます。また、アロマオイルの規制もないので、アルコールに合成香料を加え合成界面活性剤を添加させたものが、日本では多く出回っています。

『合成香料』:

化学反応利用した方法でつくられる香料のことで、3000を超える種類があるとされています。

原料は石油化学工業、石炭化学工業、パルプ工業などから安価に大量に入手できるも化合物を利用しており、天然香料であれば植物の生育状況によりバラつきがでてしまうのに比べ、合成香料は安定して生産でき安価に大量生産できます。

合成香料の全てが悪ではない

※逆に言えば、天然だから全てが安心とは限りません。

そこが誤解を受けやすい点のため、予め書かせて頂きます。

しかし、香料そのものの安全性を評価したかららといって、「香り」には何らかの作用があることから副次的な影響があることも常に念頭に置いておかなければなりません。

ここでお伝えしたいのが、〝成分表示〟と〝香料規制〟の問題です。

◆香料の成分表示義務はない

香り付き商品開発が過熱するなか、お手持ちの着香製品の香料成分を確認されたことはありますか?

実は、日用品は雑貨扱いとなり、香料の成分表示義務はありません。

むしろ、雑貨には全成分を記載する必要すらないのです。一部、防虫剤などに法律で定められた製品に関しては有効成分の記載義務はありますが、特に香料に関しては自由です。

◆香料規制できない~企業秘密~

ということは、今日本で社会問題化している消臭スプレー・洗濯用洗剤・殺菌剤・芳香剤・柔軟剤(衣類用柔軟仕上げ剤)などに含まれる香料は、いわば企業秘密として自社内でしか管理されておらず、国でさえ情報開示に介入する術はありません。

香料成分の情報が公開されていない物質について、議論すらままならないのが日本の現状なのです。

とある企業に香料についての問い合わせをしたところ、『安全性を慎重に評価し、安全であることを確認した上で使用しています』『国際香粧品香料協会(IFRA)スタンダードに準拠しております』との回答でした。

企業独自の自主基準を信用できないところにまで問題は大きくなっており、また、そのIFRAの自主規制すら問題も多いのです。

自らの香料業界内で国際基準をつくり、一方的に安全基準を定めているだけのことであり、産業側の研究内容はほどんど公開されていません。

また、米国の消費者団体が、IFRAの公開した約3000種類の成分を解析したところ、1000以上が「懸念ある化学物質」として国際機関などの公式リストに掲載された物質を含んでいました。

たとえば、国連は190種類の香料成分を「危険」としていますし、国際がん研究機関(IARC)が「ヒトに対する発がん性が疑われる」に分類される成分も存在しています。

天然香料でもアレルギー反応

先に記載したとおり、「天然のものであれば安心」と言い切ることは決してできません。

そこで、アレルギーの評価をしやすい皮膚障害を取り上げてみましょう。

強いアレルギー性皮膚炎を頻繁に起こす香料は28種類わかっているだけでも挙げられています。

天然香料では、ラベンダーオイルやイランイラン、ジャスミンアブソリュート、カナンガオイル、白檀オイルなどの陽性率が多く、色素沈着型化粧皮膚炎を起こしやすいようです。合成香料では、サリチル酸ベンジルも同様です。

ですから、天然だから安心だと、安易に他人にも使用することは避けましょう。

天然であろうと、合成であろうと、何らかの作用を示す化学物資であることを再認識しなければなりません。

「天然香料だから安心」と商品紹介する方は、香りのプロフェッショナルではありません


吸入するほうが危険です

ニオイとは…

空気中にただよう化学物質が呼吸によって取り込まれ、鼻の奥にある神経細胞の受容体に作用し、その信号が脳に伝わる感覚です。

良い香りだと知覚しても、人体にとって有害なことさえあります。

化学物質過敏症の原因となる物質は、80%以上が吸入(呼吸)により取り込まれるといわれています。

大人が1日に摂取する食物は約1㎏、水は約2㎏とされており、一方、空気の取り込みは食物の20倍、水の10倍もあるのです。

化学物質を食物などと一緒に口から摂取した場合(経口摂取)は、一般に腸で吸収され1度肝臓を経由し、代謝をうけて(解毒されて)から全身にまわります。

しかし、化学物質を呼吸から吸入によって取り込むと、(肝臓を通過せず)で吸収されて(解毒しないまま)血液にのって全身にまわってしまいます。

肝臓を経由しないことは、毒性が強くなることを意味し、脂溶性の高い物質(油に溶けやすいもの)は神経などに蓄積しやすくなってしまいます。

経口吸収よりも、呼吸による化学物質の吸引の方が重大なのです。(※医師でなくとも、生物や機能形態学にふれたことがある方ならすぐお分かりのはず。)

なぜ、無農薬野菜にこだわったり、食品添加物には気を使うのに、空気の質には無頓着なのでしょうか?

既に、農薬や食品添加物には安全性試験がなされ、純度や残留量まで規制されています。

「香り」は、経肺吸収される揮発性化学物質で、大人も子供も同じ空気を共有しています。

今、その香り付き製品の氾濫によって、屋外の空気よりも室内の空気のほうが2~5倍汚染されていると言われていますが、空気中に「香り化学物質」を揮発させたままの空間で生活を続けて安全なはずはありません。

微香料でも同じこと

一般的にしられている食物アレルギーの知識があれば、もうお分かりですよね。

微量のアレルゲンでも、重篤なアナフィラキシーショックを引き起こす可能性もあり、命に係わる問題です。

一度感作すると微量の成分でも症状が出てしまうのは、食物アレルギーでも香料アレルギーでも同じこと。

さらに、鼻粘膜からの吸収や、吸引による経肺吸収は、肝臓を経由せず(初回通過効果なし)全身まわるため、「香り」を知覚する閾値より極々わずかであっても症状を引き起こしてしまいます。

「香り」として気づかない微量であっても、急な息苦しさ、喘息発作、全身の掻痒感・蕁麻疹、吐き気、意識消失、眩暈など症状が多岐にわたり現れます。

1度「香害」で体調を崩すと、微香性の商品であっても苦痛を感じるようになる方もおり、それは至極当然のことなのです。

食物アレルギーにも個人差があるように、香料アレルギーにも同じように個人差があります。

『日本人は香料に慣れてい敏感な体質だからだ!!』と、心因性説まででっち上げようとする企業側に傾倒する御用学者もいますが、香料アレルギーは人種に関係なく存在します。

香料による体調不良に我慢を強いるのは、非常識なことです。

そして、心地よい「香り」でも安全でないかもしれないと自覚することが大切です。


予防が原則

身の回りにあふれる着香製品で体調不良を訴える方が1人でもいたら、自分にも何かしらの影響があるかもしれません。

自分が何も「匂い」を知覚しない場合でも、心地よい「香り」と感じる場合でも、香料成分には様々な作用が懸念されています。

喘息を悪化させる、引き金になる

アレルゲンになる、(将来的にも)アレルギーの原因物質になる

内分泌ホルモン攪乱作用がある

神経毒性がある

発がん性などの毒性がある

体内で分解しにくく、長期残留・蓄積するものも多く、今たとえ自覚症状がなくとも今後の将来や子供は分かりません。

日本では、因果関係を証明することができなければ企業の利益が優先され、証明するデータを収集するために20年以上かかることさえあります。

たとえ証明が成されても企業の利益を優先させてしまいます。

受動喫煙対策さえ遅れている現状を思い返すと、消費者が賢くなるより他方法はありません。


香料は、
天然・合成に関わらず、少量ならば安全だと安易に考えてはいけない事をご理解頂けたでしょうか。

日本香料協会、日本消費者連盟、渡辺和男先生(医学博士)の情報を参考にまとめさせて頂きました。

ありがとうございました。

香害とは|定義について~対処しないとどうなる?正しく知ろう




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